3000万円越えの仮想通貨取引は、財務省への報告がほんとに必要?

3000万円越えの仮想通貨取引は、財務省への報告がほんとに必要?

2018-05-29 0 投稿者: guntou

本ページでは、仮想通貨における、外為法上の報告義務について解説します。

招金さんの、↑このツイートを中心に、外為法上の仮想通貨の取り扱いについて、話題になりました。3000万円越えの仮想通貨取引は、ほんとに財務省に報告しなければならないのでしょうか。特に、2017年にトレードでたくさん稼いだ方は心配でしょう。

自分なりの解釈を交えつつ、仮想通貨の取引でどのようなときに外為法上の「支払又は支払の受領に関する報告書」を提出しなければいけないのかを整理します。

 

外為法ってなんだ?

正式名称は、「外国為替及び外国貿易法」といいます。長ったらしいですので、略して外為法(がいためほう)と呼んでいます。

日本と外国との間における「資金の移動」や「物・サービスの移動」などについての法律であり、例えば

  • 外国為替や外国貿易が、個人も企業も基本的に自由であること
  • 一定金額を超える外国の絡んだ取引や行為には届け出や報告が必要なこと
  • 両替等を業として行うときなど、外国為替事業に関連するルール
  • テロや犯罪など防ぐための経済制裁について

などなどが定められた法律です。

 

このページでは、特に55条「支払等の報告」に注目します。

第五十五条 居住者若しくは非居住者が本邦から外国へ向けた支払若しくは外国から本邦へ向けた支払の受領をしたとき、又は本邦若しくは外国において居住者が非居住者との間で支払等をしたときは、政令で定める場合を除き、当該居住者若しくは非居住者又は当該居住者は、政令で定めるところにより、これらの支払等の内容、実行の時期その他の政令で定める事項を主務大臣に報告しなければならない。

・・・法律なので少し難しい文章ですが、55条にはつまるところ、日本の国境を越えて外国のだれかと取引をして金銭の支払いや受領があったら当局に報告しなさい、ということが書かれています。

お気づきの方もいるでしょう。この55条には3000万円という言葉どころか、金額は何も書いていないので、国境を超えるものはすべて報告対象なのかなと読めますが、大丈夫です。3000万円というボーダーラインは、「外国為替の取引等の報告に関する省令」という別の法律の第1条に定められている、という構造になっています。

仮想通貨はいったん置いておくとすれば、たとえば外国の企業や外国に住んでいる人に、5000万円ないし5000万円相当のお金を送った場合は、いついつ誰にどんな目的でいくら送りました、ということを財務省に報告することになるのです。

 

結局、仮想通貨に報告義務はあるの?

結論→報告義務はあります!

ですが、報告しなければいけないケースは比較的めずらしいのではないかなと思います。

基本的にこのルールが存在する趣旨としては、犯罪やテロや脱税などのマネーロンダリングに対抗するためと考えられるので、普通の人はあまりナイーブに捉えなくて大丈夫でしょう。

次章で対象となる場合を見ていきましょう。

 

どんな時に報告が必要?

以下の、1~3のすべてに該当する場合に報告対象となると考えられます。

1.誰と取引したら?

法律では「居住者と非居住者」の間での取引ということになっています。

法律になじみのない方には、わかりづらい概念かもしれませんので、とりあえず簡単に、”居住者=日本に住んでいる人”、”非居住者=日本に住んでいない人”と読み替えていただくとよいでしょう。(会社の場合は、人ではなく、法人と読み替えてください。)

念のため解説すると、これは、”日本に住んでいる人”ということは、必ずしも国籍や戸籍とは一致しないということを意味しています。外国籍を持っている人でも日本に住んでいれば居住者と扱われることもあれば、日本国籍を持っている人でも外国で暮らしていればその人は非居住者となることもあるということです。居住者なのかどうなのかという法律については、それだけで一つのテーマになりますので、気になった方は調べてみてください。

おそらくこの記事を読んでいる方々のほとんどは、日本に住んでいる”居住者”に該当すると思いますので、みなさんが外国人や外国企業(=非居住者)を相手に取引した場合は、この「支払又は支払の受領に関する報告書」の対象となります。

2.どんな取引をしたら?

財務省の案内「仮想通貨に関する取引を行う方々へ」を読んでみると、報告の対象となる取引がわかります。

  • 仮想通貨を売買する取引であって、当該取引に関して支払又は支払の受領が法定通貨又は仮想通貨で行われたもの
  • 仮想通貨を交換する取引
  • 仮想通貨を移転する取引
  • 仮想通貨に関する取引で生じた利益金、配当金又は手数料等に係る支払又は支払の受領
  • 仮想通貨に関する取引を委託し、又は受託した際の預け金又は預り金に係る支払又は支払の受領
  • 財貨、サービス又は金融等に関する原取引があり、当該取引に関して支払又は支払の受領が仮想通貨で行われたもの 等

堅苦しく書いてありますが、売買交換移転のいずれの場合にも報告が必要ということですので、仮想通貨を利用した金銭の移動はほぼすべて対象に含まれると解せます。

3.金額は?

3000万円を超える取引が対象ですので、少額な取引は対象から外れることになります。

具体例

たとえば、海外の価格5000万円相当の不動産を購入し、代金としてビットコイン建てで海外の不動産事業者やオーナーに支払った場合は、この報告の対象にばっちりあてはまるでしょう。

また、5000万円相当のビットコインを海外の取引所から店頭の相対取引で購入した場合、なども報告対象であると解します。

 

これはセーフ?アウト?

どんなケースでは報告しなければいけないのか、しなくてもいいのか、いくつか場合分けして考えてみましょう。

ぴったし3000万円分を送った場合

法律では「3000万円を超える」と規定されているので、3000万円ぴったしはセーフです。報告の必要はありません。

国内の取引所から海外の取引所に通貨を移した

おそらくセーフだと、ぼくは考えています。仮想通貨が存在する場所をどのようにとらえるかという法律はまだ日本にありませんので、結論をだすことはできません。

もちろん、海外の企業が運営する取引所に移すという行為を、外国との取引とみることはできるでしょう。管理場所と仮想通貨の存在する場所をイコールとして考えていく方法です。しかしこの考え方には、問題もあります。たとえば、秘密鍵を印字したペーパーウォレットだったら、その紙が存在する場所が仮想通貨の存在する場所とイコールになるのでしょうか?その紙が複数の国に分散させて置いてあったらどうやって場所を決めればいいんでしょう。また、秘密鍵情報を海外のサーバーや端末に保存していれば、その仮想通貨は海外にあるということになるのでしょうか?判断が難しいと思いませんか?

これはあくまでもぼくの見解ではありますが、仮想通貨の場所はあくまでも、その通貨の保有者の住所地であるとするのが、合理的でしょう。現に、電子取引(ダウンロード配信サービスなど)の消費税の国内国外の判定では、消費者の住所で判断がなされています。情報データは簡単に国境を越えてしまうため、それを保有する人に付随するものとして考えるのが妥当であるということです。

つまり、国内の取引所から海外の取引所に移したのだとしても、保有者が日本国内にいる自分自身であることは変わっていないのだから、仮想通貨の移転であると言えないのではないか、ということです。ただ単に保有方法を変更しただけで、その通貨の権利がなにか動いているわけではありませんよね。よって、ぼくはセーフであると考えます。

bot取引などで累積すると3000万円を超える場合

セーフであり、報告の必要はないと考えられます。

これは日銀のFAQに参考になる記載があります→https://www.boj.or.jp/about/services/tame/faq/data/t_faqetc1.pdf

100万円の取引を100回行い、1億円になっている場合でも、あくまでも一回あたりの金額は、3000万円以下なので報告の必要はありません。

逆に、まったく別の2000万円のものを二つ購入し、代金をあとでふたつ分まとめて支払ったような場合、ひとつあたりが2000万円であっても、支払額は3000万円を超えて4000万円になっているので、報告の対象となります。

海外の取引所で3000万円を超える取引を行った

セーフでしょう。海外の取引所で購入したとしても、実際に取引をした相手が、いくらからいくらまでが非居住者で、いくらからいくらまでが居住者かは、とうてい判断できるわけがありません。すなわち居住者と非居住者の取引、という報告対象の条件にあてはまるかどうか不明確な上、立証がほぼほぼ困難です。なので現実的に考えて、報告は無理だと思います。

しかし、海外の取引所から相対で3000万円を超える仮想通貨を購入したのならば、報告の対象であると考えられます。3000万円越えのすべてが、海外の取引所(=非居住者)との取引であると容易に想定できるためです。

 

おわりに

今回のようなお知らせが発表され焦った方もいるでしょうが、ほとんどの方は気にしなくていいでしょう。

米ドルなどの外国の法定通貨の場合は、銀行などの金融機関を利用して送金するため、金融機関を通じてこの届出を出すようです。ですが仮想通貨は、金融機関のような第三者を通さずに簡単に国境を超えるため、注意はしておかないと届け出漏れになる可能性があるため今回のようなお知らせが出されたのかなあと想像しています。

もちろん、対象となる方は、自分は犯罪には加担していないぞと胸を張って、報告書面を当局に出してください(笑)。自分のケースはどうなるか判断に迷う場合は、直接当局に問い合わせるのがよいと思います。

今回のテーマでもそうでしたが、税金にかぎらず仮想通貨の法律はまだまだ未整備の部分がたくさんあるので今後も、動向を注視して、法律がどうあるべきかなども考えていきたいですね。ちなみに、国外財産調書をはじめ税法の分野でも、仮想通貨はどこにあるのか問題は起き得ます。

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