【書評】『金融リスク管理を変えた10大事件+X』著:藤井 健司

【書評】『金融リスク管理を変えた10大事件+X』著:藤井 健司

2018-06-27 0 投稿者: guntou

はじめに

本書は1974年の“ヘルシュタット・リスク”から、2012年の“LIBOR不正”あたりまでの、金融についての事件を、金融業界の中にいた著者の視点から解説したものだ。金融業界の中の視点といっても、本書は客観的に述べられており、単なる体験談や回顧録ではなく、解説書として有意義なものになっている。

金融を学ぶ意義

金融は複雑、そんなイメージが強いが、歴史自体は浅い分野である。その割に、現代社会では知っていて優位に立てることが多い。一般の書籍も多く出ており、イメージとは裏腹で非常に学びやすい分野であるとぼくは思う。

ただ、参入する壁は高い。学ぶ上の壁も、ビジネス上の壁も、どちらも高い。壁が高くなった理由のひとつは、過去に様々な事件が起こったため、それらを予防するために色々なルールや条件が付されているからだといえよう。また、グローバルに動く金融は、相手国についても知っていないと、要点を掴みづらいという側面もある。

どんなひと向けの本か

本書は、金融について知りたいと思っている入門者や、多少の知識を得た初心者向けの本であるといえる。LIBORや証拠金取引、サブプライムローンなど、用語の意味合いはなんとなく知っているけれど、人に説明できるほど詳しくないという人なら、よりおもしろく読めるだろう。

同時多発テロやリーマンショックをはじめ、ぼくが学生の頃に起きた事件は、その存在を知っていても、具体的に何がどう問題なのかわかっていなかった。それを少しでも紐解きたく本書を手に取ったのだが、予想通り、事実の整理に役立った。

全14章の構成となっているが、すべて年代順に書き記されている。個人的には本書は、飛ばし読みせ

ず、通読したほうが結果としてわかりやすい本であると思う。というのも、金融の変化は、なにかの事件や現象を受けて改正が行われているため、順序よく経緯を知っていったほうが、どうしてそういうルールが当たり前にあるのかというWHYが理解しやすいためだ。

むずかしかった部分

8章だけ、やや難解であると感じた。おそらく、具体的な数値ではなく、金融の抽象的かつ概念的なフレームワークについて語られているからだと思う。

おわりに

本書は2016年に出版されたものだが、2013年に出版されたものの増補版となっている。

間違えて2013年版をご購入しないようにご注意を。

↓こちらが2016年最新版です。

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